再会(Nishida)

ニ十数年ぶりに父との再会。

「なんだよ、もうちょっといい姉ちゃんになってるかと思ったよ」

余計なお世話だい()父も随分と歳をとった。

「そっちこそ随分とおじい様になられたようで」

「おう。もう先は長くないからな。はっはっはっ」

 

自分の娘が会わない間に母になり、子供といる姿はどう映っただろう・・・

まさか、新たな家族をもっている父と一緒に

お酒を飲む機会が訪れるとは思っていなかったけど、

不思議なもので、会ってみたら変な気まずさは無かった。

終始、父は緊張していたようで妙に空周りしていたけれど。

 

私の息子が父にとって「初孫」になるわけで、

いいところを見せようと思ったのか、

そのあとボーリング場へ行くことに。

父は昔、アマチュアの大会でパーフェクトを出し優勝した経験が何度かある。

それなのにスコアは下手くそな私より下だった。

なんじゃそりゃ。

マイボールでは無かったとはいえ、きっと大会より緊張したのだと思う。

 

疎遠だった父が、なぜ急に会おうと言いだしたのかは分からないけど、

厳しかった父が、なんのオーラもない大酒飲みのオッサンになっていて少し驚いた。

そしてその日、子供のときには知らなかった父の「人間性」に興味が湧いた。

 

                           END