ご霊前の謎 (井手)

3年間築地の本願寺に通い中央仏教学院通信の専修課程(僧侶資格目的コース)を

卒業したのが10年以上前。当時50名近く入学したけど、卒業したのは9名程度。

この9名は僧侶になろうと思えば、所属する寺を決めて手順を踏めばよい。

実際、5名が僧侶になっている。(教師資格といいます)

私もいずれ…とは思っております。

(歌って、踊れて、司会が出来て、演技までする坊主になろうかなと…笑)

そして年に1回程度、同窓会みたいに集まるが、

そこで話題になるのが表題の「ご霊前」という言葉。

この言葉は、真宗には存在すらしないのに、どうして葬式では多用されるのだろうか?

真宗は、【臨終即得来迎】だから「ご仏前」になるのです。

亡くなった瞬間から【仏】なのです。

(霊の概念はありません)

 

 

真宗は10派あり檀信徒数は曹洞宗と双璧である。

決してマイノリティだはないのに不思議だ…という思いと、

葬儀社が知識不足で説明がないのではないか…いやいや、それを言うなら僧侶でしょう。

まあ、こんな話が必ずでます。

葬儀社の知識不足が招いた事は一旦置いといて、

(勝手に置くなと必ずちょっかいが入ります)

一般の人や特に門徒さんの知識不足は否めません。

これはどう考えても、寺の活動の筈、葬儀社を先に責めるのは筋が通りません。

(君たちの責任は大きい、といつも言っているのですが…)

 

そこでいつも元凶探しが始まるのですが、恐らくその一つではないかと思われる本。

塩月弥栄子様が書かれた「冠婚葬祭入門」(1970年)ではないでしょうか。

ウィキによれば、この本は発刊以来5ヶ月間で100版を超す大ベストセラーとなっています。

しかし「目上の人には、はきものは贈らない」という記述に対し、履物業界から大ブーイングが起き

「営業妨害、被差別部落の伝統産業への差別につながる」など批判を浴びました。

その後、その中身は書き換えられています。

 

【旧版】

目上の人には、はきものは贈らない

 …目上の方には、はきものや下着類を贈るのは失礼とされています。

(略)身につけるものの中でもっとも重宝ないただきものは、下着と靴下だと私は思っています。

 

【新版】

目上の人にも、はきものは贈ってもよい

 …目上の方には、はきものや下着類を贈るのは失礼とされていました。

(略)身につけるものの中でもっとも重宝ないただきものは、下着とはきものだと私は思っています。

 

唖然…驚きですね。

How to本なんて、こんな物でしょうか?

 

さあ、ここから「ご霊前」の謎に迫るのですが、

こんなことも書いてありました。

「相手の宗派が分からないときは、「御霊前」を選ぶ。

それならばどんな宗教にも対応します」と。

 

 

この記述は、2009年の「冠婚葬祭しきたり事典」から掲載しましたが、

未だにこのような記述があるということは…ちょっと残念ですね。

 

只、彼女の本は多くの方にとって大変役に立ったと思います。

ご霊前は、残念だけどね。

 

今年3月にお亡くなりになられました…合掌!