文字は難しい (井手)

 

 割と有名なお経である仏説阿弥陀経は、

 「ぶっせつあみだきょう」と読むと思っている人が大多数。

 しかし天台宗では、仏説阿弥陀経を「ふっせつあびたけい」と読む。

 こちらの方が、より現在の言い回しに近いだろう。

 つまり呉音読みより、現代では一般的な漢音読みの方が、という意味である。

 漢字には、漢音・呉音に限らず、様々な読み方が存在して難しい。

 

 また日本の曜日「日・月・火・水・木・金・土」が書かれている

「宿曜経」というお経を、中国から初めて日本に持ち帰ったのは空海と云われている。

 それを、時の陰陽寮の人々が、日本の暦として転用したのではと考えられているようだ。

 因みに中国では、空海が日本に帰って以降、徐々に仏教は衰退し、

現在、曜日は「天・一・二・三・四・五・六」となっている。

 

 

 

 日本人は漢字に限らず、カタカナ文字・ひらがな文字と借用文字の文化が広がりを見せ、

また同時に英語・フランス語・ドイツ語…と外国語を取り入れていったのは、

 日本語の複雑さによく表れているのではないだろうか。

 (ごちゃごちゃ混ぜ過ぎ)

 

 空海は大変な偉人で、日本人による純粋な「日本語」を作ろうと

 画策した時期もあったようだ。香川県だったか徳島県だか、治水のための溜池を作り、

そこの石碑に空海作の日本語…象形文字のような日本語が書かれていたような…

 ごめん、記憶が不確かで「偉人」に申し訳ない。

 

 その昔、中国の文字を訳したいと思った人々は、いくつかの有名な過ちを犯している。

「鮪」という字は、日本では「まぐろ」を意味するが、中国では「チョウザメ」。

「鮭」という字は、日本では「さけ」を意味するが、中国では「ふぐ」である。

 こんなにポピュラーな魚を間違えるなんて…可笑しい(笑)。

 文字しかなくて、つまり写真や絵が無い世界では、所詮イメージの伝達は難しい。

 

しかし、イメージではなく音に合わせた文字もあった。

カラス、ハト、ねこ、か…がそれである。

漢字に直すと、鴉(烏)、鳩、猫、蚊だ。

全てに、鳴き声が入っている。

鴉(烏)は「牙(ガー)」

鳩は「九(クー)」

猫は「苗(ミュウ)⇒(ミャウ)」

 蚊は「文(ブン)⇒(ブーン)」

 

 イメージが「音」…動物の泣き声は、確かに世界共通だ。

 言葉は生き物だからどんどん変化を遂げるが、

生き物の泣き声は変化しないもの。

 

 文字は難しいけど、面白くもある。