近年、遺体を取り違えて火葬する事案が増えたように思う。
高齢の男女を取り違えた埼玉県所沢のケース、
千葉県富津市の火葬場でも男女の取り違えミスが起こった。
所沢の取り違えは、火葬場の管理体制の話が噴出して揉めたように思う。
遺体に接していない人達だからだろう。
「男と女を間違うはずがない」とか、
「棺に男女で違う色の名札を付けていた」(これも考えにくい)が、
この時は名札を付けていなかったのが原因だとか…

私の経験では、男と女の見分けがつきにくい遺体は意外と多いです。
ご高齢者、小さな子供、様々な理由から本来の性とは異なった生活をする方。
パッと見ても分からず、名前を見ても考え込むことは度々。
例として、「鈴木真理」「伊藤薫」「田中博美」…男女両方あります。
そもそも男女の違いが直ぐに見分けられると思い込んでいる
“その考え方”では、遺体の管理はできません。
また遺族・親族が棺の中の故人を対面したり、最後のお別れに、
お花を供えたりとする中で誰かが気づくだろう、
と思われる方が多いのですが実際は違います。
遺体発見までの期間や身元不明の期間が長いと、遺体は腐敗が進行します。
半白骨化状態では、とても判別がつきませんし、
余程事情がない限り、女性や子供には見せられないし、見せたくもありません。
結局、棺の中に納めている方の情報を厳密に管理するしかありません。
ただ今回、かなり酷い事案がニュースで流れました。
燦ホールディングスの子会社、公益社の管理施設で4遺体の取り違えがあり、
間違いを隠すために【隠ぺい工作】があったというのです。
これは絶対にいけません。
以下、朝日デジタルのニュースより
葬儀業の燦(さん)ホールディングス(大阪市)は10日、子会社の公益社が運営する身元不明遺体などの管理施設で、火葬する遺体を取り違える事案が2件、計4遺体あったと発表した。間違いを隠すため、意図的に別の遺体を火葬にまわしていたという。
問題があったのは、公益社の玉出営業所(同市西成区)にあるステラ事業所と呼ばれる施設。大阪府警との契約で、身元不明や身寄りのない遺体を常時50~60体ほど預かっている。
会社側によると、昨年6月19日に府警河内長野署から身寄りのない男性(71)の遺体を預かった。7月21日に火葬にまわす予定だったが、6月15日に預かっていた身元不明の遺体を間違えて火葬にまわしたという。
数日後、別の社員が気づき、ステラ事業所の責任者に報告した。しかし責任者は上司に報告せず、つじつまを合わせるために、男性の遺体を身元不明の遺体と偽って火葬にまわしたという。
今年1月、男性の遺骨の引き取り人から燦HDグループに「社員から他人の遺骨と入れ替わっていると聞いた」と問い合わせがあり発覚した。
社内調査で2014年にも、府警西成署から預かりを依頼された身元不明の2遺体で、同様の事案があったことがわかった。同じ責任者がかかわっていたという。
燦HDは2件以外にはもうないとして、調査は終えている。
同社は2月2日になって、これらの2件を府警や関係自治体などに報告した。同社は2月8日付で、古内耕太郎社長を含む代表取締役2人ら計4人の役員を減俸10%、2カ月の処分にしていた。鈴江敏一・常務執行役員は「ご迷惑をおかけして申し訳ない。今後は再発防止策を講じる」と話している。
大阪府河内長野市は公益社からの報告を受け、再発防止策の徹底を求めた。取り違えた遺骨については、引き取り人に正しい遺骨が渡るよう要請した
以上。
「ご迷惑をおかけして申し訳ない。今後は再発防止策を講じる」が、
大変空しく聞こえてくるのは、私だけでしょうか。
【ご迷惑】は、【遺体の取り違え】それとも【隠ぺい工作】???
あの公益社が…と思い、残念で仕方がありません。
しかし、決して他人ごとではありません。
今後の葬儀の有り様を考えれば、“遺体の取り違え”はもっと起こるのでは。
業界として対策を講じるべきではないでしょうか。
ショックです。