時薬

 

 

時間が、時間そのものが、全てを癒してくれる薬である。

 

時薬…物心がついた頃から何度となく聞かされてきた言葉。

 

信じて疑わなかった…というより、信じるしかなかった。

 

 

 

人が傷つき苦しんでいる時に、私たちはこの言葉を頻繁に耳にする。

 

しかし、心理療法士による最新の研究では、

 

この考え方が、逆に悪影響を及ぼしていることもあるという。

 

 

 

へぇー、そうなんだ。

何となく、薄々は分かってはいたけど…というのが私の気持ちだ。

 

 

 

 

 

私事で申し訳ないが、小学生の時、二人暮らしだった父が突然亡くなった。

 

今でもその時のことは、昨日の出来事のようにハッキリ覚えている。

 

歳を取り、認知症になって…忘れることが出来るかどうかだろう(笑)

 

きっと一生忘れない。

 

 

 

私の場合だが「時が癒す」というのは、ちょっと違う気がする。

 

癒すのは時ではなく、あくまでも自分自身だ。

 

自分自身で努力するしかない、と思っている。

 

 

 

ただ、時は哀しみを遠い彼方へ押しやってはくれる。

 

もうすぐ50年の時が流れてしまうほど、遠くへ引き離した。

 

それでも一向に変わらぬ悲しみは存在する。

 

しかし、時が経てば、悲しみとのバランスの取り方が上手になる。

 

それは、時の効果かもしれぬ。

 

 

 

最近の東日本の震災、この度の熊本を中心とする九州の震災等の被災者は、

 

多分、深い悲しみを一生背負っていくのだろう。

 

しかし、時が薬として、癒してくれることはない。

 

癒すのは、時ではないと思っている。

 

 

 

哀しみを癒すのが本人の力ならば、そのためのスキルがあれば良いのに。

 

誰か教えて欲しいなあ。