生物のもつ機能や構造は、環境に適応するための進化の賜物だと思う。
生体工学は、そういった生物のもつ機能や構造を解析し,それを人工的に再現して利用しようとする学問。動物や昆虫をヒントに製品開発するバイオミミクリー(生物模倣)は私達の身近なものにも実用化されています。有名なものを少しご紹介します。
サメ(サメ肌)→競泳水着
サメの肌は無数の鋭い歯のようなウロコに覆われており乱流を弱める。
Speedo社はサメ肌を模擬して、水の抵抗の少なく速く泳げる水着を開発。
ネコの舌→サイクロン掃除機
ネコ科の動物の舌はいくつもの役割を持っている。イヌ科の動物に比べて、アゴが弱く、骨から肉をこそげ落とすヤスリの働きや、獲物に自らの体臭を察知されないようにグルーミング(毛づくろい)を行なうクシとしての役割がある。吸引したゴミを圧縮するスクリューフィンの最下層部に、ネコ科動物の舌の構造を模倣したトゲ状突起を多数設けたことで、ゴミと空気の分離性能が高まり、繊維系のゴミの圧縮性能を向上。これがひっかかりとなり、圧縮したゴミが再膨張しない形で蓄積できるという。
ヤモリの足→粘着テープ
ヤモリの足裏には細かな毛が密集し、さらに1本1本の毛の先端が100~千本にも分かれる。この構造でヤモリは壁や天井から落ちることなく自由に歩き回れることから、
テープの表面をヤモリの足裏と同じ構造にすることにより、強く粘着するのに対して簡単にはがせる粘着テープができる。
ゴボウの実→ベルクロテープ
いわゆるマジックテープや面チャック。生体模倣技術の有名な一例。1948年、スイスの技術者 George de Mestralが犬の毛皮にくっついたゴボウの実のフック状の棘を見て思いついた。
クモの糸→人工クモの糸
クモの糸は、鋼鉄製の糸の4倍の強度とナイロンより高い伸縮性を併せ持つ。
クモではない他の生物に、クモの糸と同じタンパク質を作らせ、それを繊維にすることで人工のクモの糸をつくった。強度の強さから車や飛行機のボディーに利用される。
ハスの葉→塗料や板

出典http://ascesis.exblog.jp/2248610
ハスの葉はその微細構造と表面の化学的特性により、決して濡れることがない。葉の表面についた水は表面張力によって水銀のように丸まって水滴となり、泥や、小さい昆虫や、その他の異物を絡め取りながら転がり落ちる。ハスの葉の表面構造を再現することにより、水をはじいて汚れにくい塗料や板が開発された。
カワセミのくちばし→新幹線のノーズ

出典Wikipedia
カワセミは水辺に生息し、小枝などから水面に飛び込んで魚や昆虫を採餌する。このカワセミの嘴(くちばし)の構造が水面に突入するにあたって衝撃を抑える流線形になっている。

新幹線は時速300kmで走行するのでトンネルに突入する際に、トンネル内の空気を凄まじい勢いで圧縮してしまう。するとトンネル出口からちょうど空気砲の様に圧縮された空気が押し出され、その際に爆発音の様な騒音が発生してしまう。この現象を軽減すべく取り入れられたのがカワセミの嘴の構造である。
いかがでしたでしょうか。私的にはかなり興味のある学問です。
これから先も様々な企業でバイオミミクリ―の研究が進められ、
今後も、これはすごい!!と思うような技術や商品が開発されるのかもしれません。
進化・・・つまり生物の生きる力・・・姿、形、体の構造、
すべて理に適っていて感心するばかりです。