終活と都知事 (井手)

 

都民でもない私が、舛添前知事の辞職について書くつもりはない。只、ファーストクラスの話は歴代の都知事、岩手、群馬などの知事でも同じだが、彼だけが責められるのには…きっと訳がある。

 

その件は置いといて、都知事と云えば美濃部亮吉氏を忘れてはならない。舛添氏と同じく東大卒で、マルクス経済学者である。その彼が、革新知事として1967年から1979年まで、三期12年間にも亘り東京都知事を務めている。大変人気があった。1975年には、後の都知事、石原慎太郎氏を破って三期目に突入したのだ。そして四期目(1980年)は不出馬、代わりに参院選に出馬し当選する。その4年後、1984年死去。

 

彼の取った政策で良いこともあれば、悪いこともある。特筆すべきは、老人医療費無料と云う奴だ。また都も職員の数を増やし過ぎ、その人件費は膨大に膨らみ、結果2010年、東京都は財政再建団体となる。

 

美濃部氏が無くなってから5年後の1989年、当時の厚生省は高齢化社会に備えて、ゴールドプランを制定、10カ年計画による「高齢者保健福祉推進戦略」であった。しかし甘かった。高齢化は当初の予想を超えて進み…と云うのが彼らの言い分だが、データから予測は出来るはずで、結果1994年、つまり10か年計画の5年後でもう新ゴールドプランを出さなければならなくなる。それも甘い。結局6年後の2000年、介護保険制度がスタートしなければ、どうにもならない状況に追い込まれているのだ。

 

 

美濃部氏が悪いわけではないだろうが、政治家は人口学を学ばないのか。一般に、多産多死から多産少死、そして少産少死と移行していく。この多産多死の時代が19世紀に欧州から終焉を迎え、その後に多産少死が来るから人口が爆発するのだ。欧州、次いでアメリカ、いずれも移民政策で乗り切っているが、それが今や英国のEU離脱や米国の有色人種率の増加を招いているようだ。その次の人口爆発はアジアでまず日本…ということが分かっていながらこの有様である。

 

その場の人気取りのような政策は要らない、と思うが…

参院選、行く気が失せてきた。