9月7日、21回目の葬祭ディレクター技能審査試験が行われた。
まだ結果は出ていない(11月初旬)が、私の講座を受講して下さった方々から様々な感想を聞く。多いのは「今年は学科が難しかった」という意見である。
学科で問われるのは知識である。
約20年前の葬儀社様の知識と現在のそれとではかなり違っている。
違っていて当然だ…言葉で云うのは簡単だ。
今までにも「昔の試験ではここまでは訊かれなかった」
そういう感想を何度も聞いた。
そこで試しに、弊社の問題を出させていただく。
実は、葬祭ディレクター技能審査対策用に作成したものではない。
講座の中で出すクイズのようなもので、楽しみながら知識を得ていくものだ。
試験の前に数カ月勉強したからと云って、意味があるとは思えない。
知識を深めるためには、平素からやるべきことである。
5年程前に作成したものであるが、20年前とはかなり違っているはずだ。

問題
次の各文の( )に入る最も適切な語句を、①~④より選択しなさい。
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道元は日本における曹洞宗の開祖であり、瑩山は曹洞宗の( )であり、曹洞宗を民衆に広める基盤を作り上げました。
① 第二祖 ② 第三祖 ③ 第四祖 ④ 第五祖
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臨済宗の禅では、曹洞宗と違い、中興の祖と称される白隠が江戸時代に体系化した( )を用いる。
① 口称 ② 公案 ③ 警策 ④ 只管打坐
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( )では、一般の場合でも院号が与えられます。位号は信士・信女が多く、居士・大姉・大居士・清大姉は特別に貢献度の高い人にのみ与えられます。
① 日蓮宗 ② 真言宗 ③ 臨済宗 ④ 曹洞宗
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「没後作僧」については、「生前、入信に際して授かるのが本来であるが、その縁がなかった者も死後といえども切り捨てるのではないという仏の( )が存在する」と説明するものもあります。
① 縁 ② 智慧 ③ 回向 ④ 大慈悲
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( )は、浄土宗の戒名です。
① ○○院□誉△△●●大姉
② ○○院口阿△△●●大姉
③ ○○院□□△△禅大姉
④ ○○院妙□日●信女
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一般に死者を「ホトケ」と呼ぶのは、鎌倉時代の「( )」と呼ばれた半僧半俗の人たちが呼んだことに始まると言われています。
① 聖 ② 流鏑馬 ③ 私度 ④ 手弱女
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阿弥陀如来の別名は( )です。
① 無量寿仏 ② 釈迦牟尼仏 ③ 毘盧遮那仏 ④ 大曼陀羅
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鑑真は南都六宗の1つである律宗の総本山の( )を創設しました。
① 東大寺 ② 唐招提寺 ③ 興福寺 ④ 大安寺
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真言八祖の一人であり、真宗七高祖の一人でもある高僧は、( )です。
① 道綽 ② 龍樹 ③ 善導 ④ 源信
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「喫茶養生記」を著し、お茶を飲む効用を説いたのは( )です。
① 法然 ② 栄西 ③ 隠元 ④ 日蓮
では、解答を…
あくまでも参考にしていただければと思います。
※問題1…解答3
曹洞宗に関して
開祖(高祖)・・・道元(どうげん)
第二祖・・・・・孤雲懐奘(こうんえじょう)
第三祖・・・・・徹通義介(てっつうぎかい)
第四祖(太祖)・・瑩山紹瑾(けいざんじょうきん)
※問題2…解答2
白隠は自ら公案を創り、有名なものに「隻手音声(へきしゅおんじょう・大意:両手を打ち合わせると音がする。では片手ではどんな音がしたのか、それを報告しなさい。)」がある。
※問題3…解答1
日蓮宗では、法号に「日」の字が入り、多くの場合、道号に男性は「法」、女性は「妙」がつきます。(葬儀概論より)
※問題4…解答4
在家の葬法は亡僧喪儀法から発展して制度化されたものです。死者に御経を読んで仏の覚りを得させ、僧にする印として剃髪し、戒名を授けます。そして引導を渡して成仏させます。これを「没後作僧」と言いますが、現在の仏教葬儀の原型はここにあります。(葬儀概論より)
※問題5…解答1
浄土宗の戒名に関して、五重相伝(教えを5つの段階に分けて伝える法会)を受けた者には院号と同号の間に「誉号」をつけます。ただし、西山浄土宗の場合は、授戒を受けた者には「空号」が、さらに五重相伝を受けた者に道号がつきます。(葬儀概論より)
※問題6…解答1
鎌倉時代中期、時宗の開祖として知られる一遍は、遊行しながら念仏を広め、「捨聖(すてひじり)」と呼ばれた。
※問題7…解答1
阿弥陀如来の別名は、無量光仏、無量寿仏など。釈迦如来の別名は、釈迦牟尼仏。
※問題8…解答2
南都六宗は、法相宗、倶舎宗、三論宗、成実宗、華厳宗、律宗のことを指す。
内、付宗されていない(現存する)3宗に関する詳細は、下記の通り。
・法相宗 - 開祖:道昭 寺院:興福寺・薬師
・華厳宗 - 開祖:良弁・審祥 寺院:東大寺
・律宗 - 開祖:鑑真 寺院:唐招提寺
※問題9…解答2
真言八祖に関して
第一祖 龍猛菩薩 (りゅうみょうぼさつ)
第二祖 龍智菩薩 (りゅうちぼさつ)
第三祖 金剛智三蔵(こんごうちさんぞう)
第四祖 不空三蔵 (ふくうさんぞう)
第五祖 善無畏三蔵(ぜんむいさんぞう)
第六祖 一行阿闍梨(いちぎょうあじゃり)
第七祖 恵果阿闍梨(けいかあじゃり)
第八祖 弘法大師 (こうぼうだいし)
浄土真宗真宗七高祖に関して
龍樹(りゅうじゅ)菩薩
天親(てんじん)菩薩
曇鸞(どんらん)大師
道綽(どうしゃく)禅師(ぜんじ)
善導(ぜんどう)大師
源信(げんしん)和尚
源空(げんくう)上人
(注)龍樹と龍猛は同一視されているが、別人との諸説あり。
※問題10…解答2
栄西の主な著作に関して
『誓願寺盂蘭盆縁起』
『喫茶養生記』・・・上下2巻からなり、上巻では茶の種類や抹茶の製法、身体を壮健にする喫茶の効用が説かれ、下巻では飲水(現在の糖尿病)、中風、不食、瘡、脚気の五病に対する桑の効用と用法が説かれている。
『興禅護国論』
解答には、余計な事がたくさん書いてあります。
その枝葉が知識を深めてくれるからね。
8問正解できれば立派です。
では、また明日10問チャレンジしてください。