11月の話になりますが、今年も関東3大酉の市、
府中の大國魂神社で熊手屋さんのお手伝いをしてきました。
一の酉は朝からどしゃ降りの雨。そして二の酉。
この日もまた、関東では11月の雪は54年ぶりなんて予報でした。
本当に雪が降ってもおかしくない冷え込みでしたが、
その日はなんとか持ち堪えてくれ、祝日ということもあり、
朝から夜遅くまであっちでもこっちでも手締めで賑わいました。



今年は金庫番じゃなく熊手を売れ!!と尻を叩かれていたのですが、
値段なんてないようなものだし、お客さんの方が達者なので
私が売れるはずもありません。
が、しかし、「一回やってみないことにはしょうがない」
「みんな通ってきた道だ!!」と突如試験が行われたのです。
大ベテランのおじちゃん達が見守る中、だれの助けも借りずに
応対する・・・という試験です(笑)
そのお客さんは、毎年買ってくれている会社の方で、
ご家族でいらっしゃっていました。
そして熊手を娘さんに選ばせると言うのです。なんとも太っ腹。
昨年と同じ大きさの6寸から始まり、その上の8寸までを手に取り、
説明しつつ、同じ大きさでも装飾により価格が変わるので、
心では、どうしよどうしよ・・・とパニックです。
そして娘さんはその中から「これ!!」と指さしました。
おかめに七福神とふくろう、梅と鶴と沢山の金小判の立派な熊手です。
さぁここからです。「じゃあこれいくら?」
ついにきたー!!試験スタートです。
おじちゃん達もニヤニヤしながら聞き耳を立てています(笑)
ちゃちゃを入れられながらも、あれやこれやでなんとか交渉成立。
手締めをし、お客さんが帰られた後、
安堵と達成感に包まれながら呆けていると、おじちゃん達に
「まぁいいんじゃねえの」とか「もっと強気に出るべきだ」とか
アドバイスをいただき、その後もてんてこ舞の忙しさで
寒さを忘れ、楽しみながらなんとか終えることが出来ました。
始発で出掛け、終電で帰る。声も出ない。眠い。だるい。
もう一歩も歩きたくないような疲労感で
思い出されたのは、手締めの時のお客さんの「顔」。
そうか、あの顔が見たいんだ。と何かがはっきりとわかりました。
だから毎年性懲りもなくそこに向かうのです。
次は正月の三が日。いまから楽しみです。
END