ヒトゲノムと薬の話。
ヒトゲノムとはDNAに書かれた生命の設計図、遺伝子情報だ。
1970年代に開発されたDNA配列。
そしてヒトゲノム計画は1990年にスタートし、2000年6月に完了した。

個々によって異なる遺伝子情報を持つ我々は、
例えば、同じ頭痛薬を処方したとしても、その効能にはかなりの差があるのだ。
薬が、効きすぎる人(量で調整する)、なかなか効かない人、全く効かない人、
効かないところか逆に服作用に悩まされる人。
僅かな誤差というかもしれないが、医療の分野でそれは困る。
そこで患者本人の遺伝子情報に合わせて治療を調整する方法は、
近未来の医療の在り方として期待される「個別化医療」の姿である。
しかし、残念なことに遺伝子データを薬の選択に生かすことに医者は慣れていない。
今でも長年続いてきた方法である患者の年齢・体重・心臓・肝臓の機能など
容易に調べられる要因に注目するのが主流であろう。
ヒトゲノムの解明は病気の予防や診断・治療に結びつくので大きな成果をもたらすが、
遺伝子の役割と病気の関係性の解明は明らかになっていない、一筋縄ではいかないのだ。
それでも必ず変化する。
多死社会の前に、多病社会があるのは当たり前。
ゲノム薬理学として、一人ひとりに精密な医療を施す時代はそこまで来ている…筈。
では。