時代で変わる単位 (井手)

 

 

 

現在、1kgを定義しているのは19世紀の産物である。

 

具体的には1889年以来、その1kgはパリの秘密倉庫に厳重に保管されている。

 

白金イリジウム合金製の円筒の質量として定義されてきた。

 

これを国際キログラム原器と呼んでいる。

 

ただの円筒の形をした「白金イリジウム」だけどね。

 

 

 

未だに人工物によって定義されている計量単位は、ナントこれだけである。

 

つまり、キログラムの単位だけが、厳重に管理された国際原器(白金イリジウム合金製の円筒)で定義されているのだ。

 

 

 

これを約30年ごとに保管庫から取り出して、

 

同じ保管庫に入れられている6つの複製品と比較検証する。

 

1889年は国際原器と一致したのだが、100年以上経った1992年の計測では、

 

国際原器の方が僅かに軽かったのである。

 

えっ、大問題である!

 

 

 

(写真は本文とは無関係です)

 

 

 

実は、メートル、秒、アンペアなどの単位は、とっくに概念が変わっている。

 

例えば「メートル」。

 

フランス科学アカデミーが1791年にメートル法を提案した際には、地球の円周の1/41/1000として定義され、その円周の定義は、北極点とパリを通る子午線とされた。

 

現在の定義(1983年以降)では、

 

光が真空中を1/299.792.458秒間に伝わる距離である。

 

 

 

例えば「秒」。

 

また、秒に関する昔の定義は、平均太陽日(地球が太陽に対して1回自転するのに要する時間)の1/86.400という分かり易いものでした。しかし、国際度量衡委員会は、量子力学的な現在の定義に改めている。

 

その現在の定義(1967年以降)では、

 

セシウム133原子の基底状態の2つの超微細構造準位の間の遷移に対応する放射の周期の9.192.631.770倍の継続時間。(何のことかさっぱりわからん)

 

 

 

因みに、アンペアの単位も1946年に変更している(詳細は省くが…)

 

結局、キログラムの単位だけが、未だに古い産物で定義されたままだったのである。

 

それが、ついに今年変わるのだ。

 

1kgを量子力学と関連づける形で再定義される。

 

宇宙へ行く時代に、白金イリジウムで国際キログラム原器もあったもんじゃないだろう。

 

少しづつ、我々とは直接関係ないところでも世界は変わっているのだ。

 

 

 

では。