日経サイエンスを読んで。
我々はダンスに魅せられる。
人類史を通じ全ての文化で無数の人々が実際に踊ってきた。
人は、誰でも踊れるのだ、いや、踊る能力を生まれながらにして持っている。
動物の中には、踊れる種がいくつかいるが、
人間ほどダンスがうまい動物は地球上にいない。

ダンスは、外部からもたらされるビート(拍)を感知し、
そのタイミングを予測し、それに合わせて体をリズミカルに動かすこと。
つまり、筋肉を制御する運動ニューロンと、
感覚ニューロンで検知した聴覚信号を
「同調」させる神経的な処理に依存している。
大切なのは「同調」である。
これは、人間だけでなくオウムなども持っている。
人間の特性のうち同調に基づいているものは、
ダンス以外に「発声学習能力」があるのだ。
声帯と喉の筋肉の動きを同調させるのだ。
同調が可能な動物は、音を真似る能力を既に持っている。
オウム、小鳥、鯨、象など。
小鳥は、交尾相手に自分をアピールする音響的ディスプレイが可能になったのだし、
オウムは同じグループの一員であることを示す音響的な身分証明書であったのだろう。

弊社が、司会講座の中で必ず教材CDを渡している。
その理屈が、ダンスの話の中に紛れ込んでいた。
人間(受講生)は、モデリング学習で使うある音を聴き、
とても注意深く聴き、頭の中に同じ高さ、音の流れ、間、声の持つ色etc…
音(声)を模倣してみる。
予想した音と実際の音の差があれば、それを認識してより近づこうと繰り返す。
こうして、より複雑な同調の能力を身に付けていくのだ。
結果、誰でも上達していくのだ。
ダンスと発声学習能力が「同調」というキーワードで繋がっていた。
では。