今や人類は、大規模な気候変動など地球規模の脅威に取り組み始めている。
しかし、破滅的な「太陽嵐」に備えている専門家は殆どいない。
太陽嵐とは、太陽から大量の物質エネルギーが爆発的に噴出して地球の磁場を乱す現象。
前例がある。
1859年、「キャリントン・イベント」として知られる太陽嵐は、
巨大な太陽フレアと高エネルギーの粒子の噴出から始まり、
記録に残る限り最も強烈な磁気嵐を引き起こした。
大気中に明るいオーロラが生じ、キューバのハバナやフロリダでも観測されている。

しかし、1859年といえば日本では江戸時代。
この現象が、現代に起こったら…それこそ、数百年前に起きた大地震が現代に起きたら
…と同じ(もしくは比較にならないくらい)で、
その被害は日本だけの話にとどまらず、地球規模の大災害に発展するだろう。
現代社会はGPS(全地球測位システム)、電力網や通信衛星に依存している。
最近、北朝鮮が示唆した「電磁パルス(EMP)攻撃」への懸念が増大している。
その理由を理解するのは簡単である。
EMPの影響を研究してきた専門家たちによると、
まさにこの世に終わりのような事態がもたらされる可能性がある。
送電網が破壊され、1年以内に米国の全人口の最大90パーセントが死亡するという。
電磁波が襲ってきた場合、その発生源が北米上空で起きた水素爆弾の爆発だろうが
大規模な太陽フレアだろうが、日常生活には確実に影響が生じる。
ただ被害の大きさは不明だ。
少なくとも北朝鮮からの攻撃に関して言えば、
電磁波が実際にどのような事態を引き起こすのかよくわからないという事実は、
われわれの不安を完全には消し去らないにしても、ある程度は和らげてくれる。
これは、あくまで予測に過ぎない。
大騒ぎする事でもないかもしれない。
EMPが送電網に影響を与える可能性は低いということを理解すべきだ。
電磁波攻撃の恐怖を叫ぶ人たちは、人口のほとんどが死に絶えると本気で信じている。
一方で、そんなものはSFの世界の物語に過ぎないと切り捨てる意見もある。
間違いなく云えることは、社会の技術進歩と共に脆弱性が増すことへの警鐘であろう。
痛い目に遭わないと人間は反省しない。
このことは歴史が繰り返し教えてくれている。
電磁パルス(EMP)攻撃を示唆した北朝鮮が、逆に目を覚まさせてくれたのかもしれない。
気候変動だけでなく、宇宙天気にもっと目を向ける必要があるだろう。
地球で暮らすのならば、重要な問題である。