共存目指し(井手)

 

秋田県内で、ツキノワグマの捕殺数が前年度の1.7倍にも急増している。

自然保護団体が駆除の中止を求めているが、

クマによる死傷者も2009年以降、最多の20人。

 

ツキノワグマは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで危急種に分類される。環境省によると、国内では九州で絶滅と考えられ、四国では絶滅の恐れがある。

 

皆殺しが良いとは思えぬが

 

 

秋田での捕殺数は全国で群を抜く。

昨年度も全国最多の476頭。

この10年で唯一、2年続けて300頭以上を殺した。

そのほとんどが住宅地や農地への出没による「有害駆除」。

住民の要請に応えた結果という。

 

住民も気持ちは察するに余りある。

一方で、大量捕殺により生態系は脅かされかねない。

人間と熊、うまく住分けられないのだろうか。

クマが里山に来ないよう山奥の自然を保護し、

 

クマのエサになる果樹や生ゴミなどを人の生活圏で放置しないことが大切だという。

 

 

ところ変わって奈良県では…

野生のシカとの接触事故に頭を抱えていた近畿日本鉄道が、

運行時間外にあえて線路を渡れるようにする「シカ踏切」を導入した。

侵入しないように排除するのではなく、共存を目指したところ、

事故は激減し、対策に光明が差してきたという。

 

シカは、日中は移動しないため、事故は起きない。

(シカの生態をよく知っている)

危険が高い早朝や夜間の運行時間帯だけ、隙間に、シカが嫌がる超音波を発して

侵入させないようにし、終電から始発までは発信しないで

自由に線路内に入れるようにした。

これが大成功だったらしい。

 

これまでの鉄道各社の主なシカ対策は、侵入防止ロープや赤色LED灯の設置、

野獣の糞尿をまくなど、線路から遠ざけようとするものだった。

しかし目立った効果はなく、国土交通省によると、

シカなどの野生動物との接触事故が原因となった運休や30分以上の遅れは、

昨年度に過去最多の613件(前年度比185件増)に上った。

特に山間部の路線を多く抱える近鉄は深刻で、

シカとの接触事故は全線で2004年に57件だったのに対し、

15年は約5倍の288件にまで増えていたらしい。

 

新たなシカ踏切設置後の事故は、8カ月でわずか2件。

 

今年度のグッドデザイン賞にも輝いた。

 

鹿と列車の接触を防止するシステムです。侵入防止ネットを使用し、鹿の線路への侵入経路(獣道)を限定の上、超音波により鹿の線路侵入を制御します。超音波の発信は列車運行がある時間帯とし、その間の鹿の線路侵入を抑止します。逆に列車運行が無い時間帯は超音波の発信を止めることで、鹿は自由に線路へ侵入し、安全に横断することが出来ます。

 

 

シカ目線で問題を捉えたことが成功への導きだったというが、

そう簡単にはいかない。

 

 

動物と人間の住み分けは、ホントに重要な問題だ。