何気ない会話で、「絶えず進化しているんだよ」なんて言葉は日常茶飯事だ。
だが、生物の進化は個体に起こるものではない。
長い間の世代を経て、集団レベルに起こる現象だ。
きっと「絶えず進化しているんだよ」と言ったのは
「上達した」或いは「巧くなった」ということだ。

ガンギエイというサメや他のエイと同じ軟骨魚類に属する原始的な魚がいる。
このガンギエイの一種は、鰭(ヒレ)を使って、まるで歩くように海底を移動する。
このエイの「歩行」を制御している神経細胞の遺伝子は、
哺乳類の歩行で使われるものと同じであることが判明したらしい。
歩行を制御する神経ネットワークが4億年以上前に、魚類に初めて出現したのである。

新しい発見がある度に、歴史は紐解かれていく。
ガンギエイは何億年も前から生存し、祖先からほとんど変化していないと考えられる。
大きな鰭で泳ぎ、小さな鰭で海底を歩く姿は、昔のままであるらしい。
ガンギエイの小さな鰭は、まるで足のように交互に動かし曲げたり伸ばしたりしている。
4億年も前から始まって…
これが、始めの一歩か。