大惨事(miori)

先日、父の誕生日のお祝いをかねて家族で食事に行こう!と言う事になり、

予約した時間までまだまだあるので、実家で預かっている子たちと庭先で遊んでいた。

 

遊んでいたというより、母とおしゃべりをしながら子供たちを見ていた。

 

暫くすると子供たちが、かけっこで競争をしよう!と言い出し、いつもは乗り気じゃない私も今日は良いかという軽い気持ちで誘いにのった。

 

これが運の尽き・・・

 

食事に行く前だったので、普段コンビニなどに行く楽なスリッパをはいていたが、履き替えるのも面倒だしそんなに本気で走らないし大丈夫だろうと高をくくり、危ないんじゃない?という母の忠告も無視しスタートラインに立った。

 

位置について…よーいドン!!!

 

という母の声と共に一気に駆け出した。

視線の先には誰もいない。私が一着だ。

そう思った次の瞬間、グラッと視界が眩みそして足が絡まり、

見事なまでのスライディングでコンクリートに思いっきり滑った。

滑ったと言うより、今世紀最大にコケた。

 

痛みよりも息苦しい方が勝り、大丈夫と言ってはいたものの、両膝は血だらけ。

肘も擦りむき、オデコには絵に描いた様なタンコブ、メガネはボロボロに傷が入った。

 

振り返ると、息が止まりそうなくらい大爆笑している母。

だから言ったのにと聞こえてきそうだったが、

思ったよりもひどい状況にすぐさま近所のドラッグストアに走り応急手当をしてくれた。

 

不思議なもので、怪我をするとその時は痛くないのだが、後になってすごく響いてくる。

実際車にはねられた時もその時は痛くないが翌日、どちゃくそ痛かった。

 

 

予想は的中。

 

 

食事中は痛かったが、ただ転んだだけでせっかくの食事会がおじゃんになるのだけは避けたい。

家に帰り、お風呂に入って翌日の朝を迎えた。

 

 

目覚ましが鳴り響き、いつものように猫たちが起こしに来た。

が、体が全く動かない。

体を起こそうとすると激痛が走り息も絶え絶えになるほどだった。

その日は月曜日、会社での大事な用があり休むわけにはいかない。

井手氏に事情を説明し、何とか起き上がり病院へ向かった。

 

病院につきレントゲンを撮ると・・・

「あ~。肋骨ヒビいってるね~!なにしたの?!」

と先生。

 

恥ずかしくてとてもその時の状況を説明できなかったので、

「転びました」

ただ一言、そう伝えた。

 

 

 

ただ転んだだけでここまでの大惨事になるなんて、ジョギング中に転んで血だらけになった父と、

玄関先で転んで前歯2本を折り、肋骨を折った母以外いないと思っていたが、私にもその時が来たようだ。

井手家は何か不思議な縁で結ばれているかもしれない。

そう思った月曜日の朝だった。

 

 

end.