「悲しみ」の感情 (井手))

 

 

 

年の瀬だ。

 

今年も喜怒哀楽に彩られた1年が終わる。

 

 

 

 

 

人の感情を纏めて喜怒哀楽と表現するが、

 

その感情をもっと細かく分けて研究した人物がいる。

 

それは2年前に伺ったベルギー・ルーヴェン大学のフィリップ・ヴァーダイン教授と

 

サスキア・ラブリセン教授の二人だ。

 

彼らは学生233名に対し、感情の持続時間を計測するため、

 

感情的になった最近の出来事を思い出して、その持続時間を報告させた。

 

 

 

その結果…驚き・羞恥・嫉妬・感動など、直ぐに消えてしまう感情に対して

 

悲しみは最も持続力の長い感情であることが分かったのだ。

 

 

 

さほど重要でない出来事によって引き起こされる感情(驚き・羞恥・嫉妬・感動)は、

 

直ぐに収まる感情であり、継続時間の長い「悲しみ」の感情は、当事者にとって

 

関心の高いことと連動した出来事により引き起こされる傾向にあることも分かった。

 

 

 

また、持続する「悲しみ」の感情は、時間の経過とともに高ぶりをみせることがある。

 

これは当事者が問題の出来事や結果を繰り返し思い出すことによって感情が持続し、

 

強化されていることが原因かもしれない。

 

 

 

悲しみの感情はやっかいだ。

 

いつまでも消えることなく、むしろ深く刻み込まれる。

 

私だけではないだろうが、恥を掻いた出来事や、怒り、妬み、嫉妬などは持続しない。

 

でも、数十年と消え去ることのない悲しみは、歳と共に貯まる一方だ。

 

目一杯利息が付き、悲しみ積立貯金はとっくに満期を過ぎた。

 

 

 

人にはそれぞれ種々雑多な考え方があり、

 

時として自分とは違う思考の持ち主とも出会う。

 

 

 

或る方が、「悲しみを乗り越えるため…」と言った。

 

正確には「悲しみを乗り越えるための○○の方法」(○○には数字が入る)だ。

 

 

 

皆さんは、どう思われますか?

 

 

 

私の中では、「悲しみ」は決して乗り越える対象ではありません。

 

また「悲しみ」は克服するような対象でもありません。

 

私にとっての「悲しみ」は、大切な人との生活の証であり、

 

いつも傍にいてくれて、自分の支えになっています。

 

 

 

悲しみと共に一生、生きていくのです…2019年も。

 

では。