これからの季節、インフルエンザの流行がピークになります。
インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型があり、
それぞれ構成するタンパク質の構造が異なります。
このうち、一般に流行するのはA型とB型なんです。
A型は、ウイルスの表面の突起の型が違う2種で、
ソ連型(H1N1)と香港型(H3N2)に分けられます。
B型は、ウイルスの遺伝子の違いで
「ビクトリア系統」と「山形(yamagata)系統」に分けられます。

同じ型、系統でも、流行するウイルスは毎年少しずつ異なります。
このため、世界保健機関(WHO)は、世界中の研究機関から報告を受けて
次のシーズンに流行するウイルスを予測し、
どのウイルスを元にワクチンを作るべきかを示しています。
さてインフルエンザウイルスの作り方ですが、当然、原料となるウイルスが必要。
そのウイルスの感染性を失くしたものを鶏卵で培養して増やすのだが、
大人一人分のワクチンを作るのに、鶏卵1~2個必要だ。
だから1日に何百万個~何千万個の鶏卵が使われているのだ。
卵は我々が普段食べている卵とは違って「孵化(ふか)鶏卵」、生きている卵を使う。
ウイルスは、生きた細胞に感染して増えるから。
シーズンで流行するタイプの予想を間違えると困りますね。
以下、朝日デジタルニュースより抜粋
遡ること31年、
「おかしい」
インフルエンザウイルスの分析結果をノートに書き留めていた、当時研究所の研究員だった大山忍さん(74)は、異変に気づき、鉛筆を握った手をとめた。
1988年1月。数日前、市内の病院にかかった3歳児から検出された、B型インフルエンザのウイルスだ。
研究所には、それまで採取してきたウイルスから作られた抗体が、数十種保存されていた。採取されたウイルスが届くと、まず、これまでの抗体との反応を調べる。抗体との結びつきが強いほど、抗体の元になったウイルスと近いことになる。3歳児のインフルエンザウイルスも、抗体との反応を一つずつ調べ、一覧表にまとめていった。
「64、反応なし、反応なし、16……」。近いウイルスがあれば反応して、数百~数千の値になるはずが、どれも低い。ほとんど反応をしていない。
「新しいウイルスなのでは」
そう判断した大山さんは、国立予防衛生研究所(現国立感染症研究所)にウイルスを送った。同研究所が精査し、変異したウイルスであると確認。米疾病対策センター(CDC)にも届け出られ、従来のB型ウイルスとは異なるものと確認された。このウイルスは同じころ、世界各地で確認され始め、最初に発見された山形の名をとり「山形系統」(Yamagata lineages)と名付けられた。
頑張れば、山形の小さな研究所からでも世界に通じる仕事ができる――。そう信じて取り組んだ結果だった。
この山形系統は今も流行しており、今シーズンのワクチン株4種にも含まれる。「Yamagata」は、インフルとたたかう世界中の医者や研究者の間では「共通語」だ。
そのことが、大山さんの誇りだ。「世界中のたくさんの人が恩恵を受けるワクチンの大元が、山形で見つかった。私の一生で一番大きな仕事です」。
「『Yamagata』は、ウイルス学の世界ではとても有名なんです」
以上
知らんかったわ。
インフルエンザでも、日本で発見されたウイルスには愛着が涌く(?)。
もし私が、幸か不幸かインフルエンザに罹ったら
「先生、このインフルエンザは、B型の山形系統ですか?」
と、弱々しく聞くだろう。
そして、「そうですよ山形系統です」
と言われれば、小さくガッツポーズをするはず…だ。
しない、しない!
では。