AI「無脳論」(井手)

 

東京大学名誉教授、「バカの壁」の著者・養老孟司先生が

 

文芸春秋3月号に掲題のAI「無脳論」を寄稿していた。

 

大変興味深く読ませていただいたが、ズバリと断言していて面白いなあと思った。

 

そんな中からいくつか紹介したい。

 

 

 

 

(原文抜粋)

 

そもそも人間はコンピューターやAIと勝負する必要はありません。

 

例えば、100m走をオートバイと競う人がいるでしょうか。

 

同様に、計算に特化したAIと人間が計算で争ったところで

 

AIが勝つに決まっているんですから。

 

また、AIが生物のようになる可能性はあり得ません。

 

人工的に作れた細胞はないからです。

 

脳の観点から見れば、AIと人間は全く別物です。

 

(以上)

 

 

 

 

巷ではAIに取って代わられる職種が40%とか言われています。

 

そんな不安を払拭し、これだけでもかなり安心します。

 

冷静に考えてみれば、そうなんですよね、人間の脳とAIは全く別物。

 

 

 

つい20年前も、コンピューターの登場で印刷会社の植字工、筆文字を書く人達、

 

看板屋さんの或るレベルの仕事などが打撃を受けたことは記憶に新しい。

 

それと同じようなことが、それより大きなスケールで起こることは間違いないでしょう。

 

社会に貢献するための職業が、より便利なシステムと置き換わることは

 

人類にとって決して悪いことではありません。

 

 

 

しかし、高度に情報化社会が進んでいくと、本人の確認でさえ運転免許証か健康保険証で、

 

その人自身が本人であることを証明しないといけなくなってきます。

 

役所の事務員が、例え顔見知りの知り合いでも認められなくなってしまいます。

 

 

 

つまり大事なことは、本人はどうでも良くて、本人を証明するデータが重要なのです。

 

デジタル化が進むということは、データ化された物が大切、そういう事なのです。

 

 

 

何だかちょっと違うな、と思います。

 

人間が求めている世界は、本当にそこにあるのでしょうか。

 

 

 

更に、養老先生は続けます。

 

テクノロジーやAIの発展を止めることはできません。

 

戦前の軍隊と同じように、一度、お金と労力を投資してシステム化してしまうと、

 

慣性が大きくなってしまい後戻りはできないからです。

 

 

 

それでも、もし、AIやコンピューターが邪魔になったら、

 

人間がコンセントを抜いてしまえばいいのです。

 

 

 

 

少しだけ、気が楽になったような気がします。