松本には、どうしても訪ねたい蕎麦屋がある。
私に、蕎麦の魅力を教えてくれたお店だ。
九州出身の私は、蕎麦の美味しさが分からなかった。
5~6年前、何気なく入ったこの店で私自身に驚天動地の出来事が起こる。
そのお店の名は「榑木野」である。
最初はなんて読むのか興味もなかったが、初めて味わった後、必直ぐに調べた。
「榑木野(くれきの)」と読みます。
(注)榑木は、単に榑ともいわれ、桧(ひのき)・杉・椹(さわら)などから製した上質材である。 平安時代の榑木は後世のものに比べて大きく、使用目的も建築用材として、主に壁柱に 用いられていた。松本城下の民家の屋根は榑木だったところに、店名の由来があるそうです。

何気なくお店に入ったと言ったのは、お店の所在地が、駅を降りてすぐ傍にある
いかにも観光客相手のお店だと思われるところで、ご他聞に漏れず私もそう思い…
他に行く場所もなく、つまりは仕方なく入ったお店だったのです。
こんな時、平素の行いがいいと、神様か仏様がご褒美をくれるのでしょう。
そこで食べた蕎麦は、キンキンに冷たく、そして細くて、やや硬い麺、しかし
口の中で噛めば、噛んでいく内に味が広がり香りが追いかけ…という経験をしました。
「美味しい」と、心からそう思えました。
昭和の人間だから、寅さん、に一言。
「信州信濃の新そばよりも、あたしゃあんたのそばがいい」
この言い回し、逆の場合もあるよ。
「あんたのそばより、信州信濃のそばがいいんじゃい!」(笑)
では早速お写真を。
突き出しのセンスも悪くはないけど、
何といっても、しゃもじに載せた蕎麦みそ焼き(下の写真)が最高!
焦げて食えるの?
そうお思いかもしれませんが、食ってみなはれ、
日本酒2合はいけまっせ。
(何故関西弁?)
蕎麦の細さが分かるかなあ。
一応、寄ってみましたが、何となく硬そうな感じがしますかね。
実は、膝が最高に痛いときで、ホテルから外に出るだけで心が折れそうだった。
でも…あの美味しい蕎麦が食えるならと、杖を突いて、気の遠くなるくらい
ゆっくりゆっくり歩いて、それでも店の前では少しだけ早歩きになっていました。
ご馳走様でした。
では。