松本に来たら (井手)

 

松本には、どうしても訪ねたい蕎麦屋がある。

 

私に、蕎麦の魅力を教えてくれたお店だ。

 

九州出身の私は、蕎麦の美味しさが分からなかった。

 

56年前、何気なく入ったこの店で私自身に驚天動地の出来事が起こる。

 

そのお店の名は「榑木野」である。

 

最初はなんて読むのか興味もなかったが、初めて味わった後、必直ぐに調べた。

 

「榑木野(くれきの)」と読みます。

 

 

 

(注)榑木は、単に榑ともいわれ、桧(ひのき)・杉・椹(さわら)などから製した上質材である。 平安時代の榑木は後世のものに比べて大きく、使用目的も建築用材として、主に壁柱に 用いられていた。松本城下の民家の屋根は榑木だったところに、店名の由来があるそうです。

 

何気なくお店に入ったと言ったのは、お店の所在地が、駅を降りてすぐ傍にある

 

いかにも観光客相手のお店だと思われるところで、ご他聞に漏れず私もそう思い…

 

他に行く場所もなく、つまりは仕方なく入ったお店だったのです。

 

 

 

こんな時、平素の行いがいいと、神様か仏様がご褒美をくれるのでしょう。

 

そこで食べた蕎麦は、キンキンに冷たく、そして細くて、やや硬い麺、しかし

 

口の中で噛めば、噛んでいく内に味が広がり香りが追いかけ…という経験をしました。

 

「美味しい」と、心からそう思えました。

 

 

 

昭和の人間だから、寅さん、に一言。

 

「信州信濃の新そばよりも、あたしゃあんたのそばがいい」

 

この言い回し、逆の場合もあるよ。

 

「あんたのそばより、信州信濃のそばがいいんじゃい!」(笑)

 

 

では早速お写真を。

 

突き出しのセンスも悪くはないけど、

 

何といっても、しゃもじに載せた蕎麦みそ焼き(下の写真)が最高!

 

焦げて食えるの?

 

そうお思いかもしれませんが、食ってみなはれ、

 

日本酒2合はいけまっせ。

(何故関西弁?)

 

蕎麦の細さが分かるかなあ。

 

一応、寄ってみましたが、何となく硬そうな感じがしますかね。

 

 

 

実は、膝が最高に痛いときで、ホテルから外に出るだけで心が折れそうだった。

 

でも…あの美味しい蕎麦が食えるならと、杖を突いて、気の遠くなるくらい

 

ゆっくりゆっくり歩いて、それでも店の前では少しだけ早歩きになっていました。

 

 

 

ご馳走様でした。

 

 

 

では。