懐かしい思い出 (井手)

 

今まで我が家に来てくれた子供たちには、それぞれに思い出がある。

 

ふっと思い出したことがあって、忘れない内に書いて記録しておこうと思った。

今は小学高学年の彼女(A子)が、まだ2年生の春の出来事。

 

新たに新1年生が入学してきた。

 

この地域の小学校では2年生がマンツーマンで新入生を連れて、

 

手を引きながら校内を練り歩き、音楽室とか保健室とか体育館とかを紹介する日がある。

 

所謂、新入生のための学校紹介だ。

 

 

 

ズラリと2列に並んだ、1年生と2年生。

 

それなりにガヤガヤと喧しい。

 

手を離すとウロウロするので、それぞれ向かい合った組が手を繋ぎ、

 

担任が先導して校内パトロールのような行進が始まった。

 

校舎の1階から一周して2階というように、3階建て校舎の屋上まで紹介する。

 

その途中での出来事である。

 

 

 

校舎3階には現在高校生の女の子が、当時は6年生で授業を受けていた。

 

ガラガラッと勢いよく教室の後ろのドアが開いた。

 

「あそこに座っているのが、私のお姉ちゃん」

 

唐突にA子が1年生に紹介した。

 

 

 

その瞬間、教室はシーンと静まり返り1年生の男の子は恥ずかしそう。

 

授業をしていた先生が溜息を付くと「今は授業中だからね」

 

そう言いながら二人に近づき教室の外へ押し出す。

 

そしてピシャとドアを閉めた。

 

 

 

授業を受けていた6年生のお姉ちゃんは真っ赤赤!

 

「凄いね」

 

「誰~!」

 

「お前、学校紹介に入ってるんだ!」

 

驚きや揶揄する声で教室は一時騒然とした。

 

しかし、先生の「静かにしなさい」の声の元に収まり、

 

そのまま授業は続いた…が、コレでは終わらないのだ。

 

 

 

その頃、例の一団は屋上に居た、

 

温かい風を浴びながら1.2年生が皆で休息していた。

 

号令と共に、再び一対となって手を繋いだ。

 

後は1階の教室へ戻るだけ。

 

 

 

その時は突然訪れた。

 

さっきは教室の後ろのドア。

 

ここを開けてはいけないと怒られた。

 

だから今度は、前のドアだ。

 

 

 

ガラガラッ…

 

みんなの視線が一斉にこちらを見る。

 

「お姉ちゃん!!」

 

 

 

この子、メンタルが強いのか?

手を繋がれた1年生の男の子にとっては…悲劇だ。

 

その日の我が家の夕食時、6年生のお姉ちゃんの話に唖然。

 

久々にビックらこいたよ!?

 

少女A