考えてみれば、人間にも再生能力がある。
例えば、手足の擦り傷は「かさぶた」ができた後もう傷跡さえ残っていない。
そうか、幼い頃から何気ないことだから当たり前のように思っていたが、
この能力を調べてみる…という研究があることを知った。
老化現象も傷と認識することができれば、手や顔の皴(しわ)の一本々が消える…
そんなことだって決して夢ではない。

体の治癒や再生に向けた幹細胞治療は、マスコミでよく取り上げられる。
それは主にIPS細胞の事だ。
IPS細胞(人工多能性幹細胞)とは、本来、分化多能性を喪失している体細胞に
特定の遺伝子を導入することによって、人為的に誘導される多能性幹細胞株の総称。
京都大学の山中伸弥先生らが世界に先駆け開発し、
2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞したことで知られている。
しかし今回の話は、そもそも人間にも再生能力があり、
その能力を最大に引き出せないだろうか、というものである。
きっかけは、イルカがサメに頻繁に襲われ、噛まれた大きな傷跡があっても
それが残ることはなく、というか数週間もすれば元通りなのである。
イルカは、裂けた肉を再生しているのだ。
同じ哺乳類として、似たような能力を人間も持っているが、
あるレベルでブレーキがかかる、ということが分かってきた。
そのブレーキを解除することができれば…そういう研究が進んでいるようだ。
病気や怪我で損傷した細胞を、置換・修復するのを助ける物質が分かれば
その医学的な恩恵は計り知れない。
いや、欲張りな人間は、医学的だけに収まるはずもなく、
アンチエイジングに向かい常に若々しさを求めるに違いない。
イルカのように…