残骨灰って知っていますか(井手)

 

 

一般の方には、あまり知られてないと思うのですが、

 

火葬後のお骨で収骨しない部分、または地域によっては全部収骨ではありませんから

 

お骨が余ってしまいます。そのようなお骨のことを「残骨灰(こっぱい)」と呼びます。

 

実は、そのような残骨灰の中に「金」「銀」「パラジウム」等の貴金属が含まれています。

 

私は数年前、全農様の海外研修に参加してパリ市の火葬場を視察したのですが、

 

その時も残骨灰が仕分けされていました。

 

そこでいくつか学んだこともあり、日本でも、いずれ問題になるのでは…そう思っていたのです。

 

今回、朝日デジタルのニュースで取り上げられていたのは、

 

厚生労働省の調査に回答した94自治体のうち8割が、

 

委託業者に残骨灰の処理を委託しているということでした。

 

その委託料は、1円で委託しているところもあると書かれていて、

 

岐阜市や北九州市がそうだというのです。

 

確かに、安すぎるというか委託料が「1円」というのは、

 

最近話題になった「よ〇〇〇」の若手のギャラ明細と同じですよね。

 

どうなんでしょうか。

 

変なお金の流れが、そこに存在しなければいいのですが心配になります。

 

 

では、ニュースを抜粋でどうぞ。

 

山中由睦(よしちか) 20198261700分の記事です。

 

 

毎年100万人以上が亡くなる多死社会の日本。火葬後の遺灰に含まれる金歯や銀歯といった貴金属の取り扱いをめぐり、自治体で対応が分かれている。火葬場で遺族が収骨した後、残った「残骨灰」の処理をどうするか。死者の尊厳に関わるだけに、自治体にとって悩ましい課題だ。

 

 人口34万人の大津市。毎年3千人近くが亡くなっている。市などによると、火葬後の収骨方法は地域によって違う。東日本は大半を骨つぼに入れ、西日本は「のど仏」など一部の骨のみを納める場合が多く、多量の遺灰(残骨灰)が出るという。

 

 大津市は1980年、天台寺門宗の総本山・園城寺(おんじょうじ)(三井寺(みいでら))の境内にある市有地に「霊灰塔」を建設し、灰の保管場所にしてきた。しかし、2年前に満杯に。市内の二つの斎場の保管庫などに置いてきたが、収納スペースもなくなった。このため、市は昨年から灰の体積を小さくする減容化処理を検討してきた。

 

 処理は業者に委託し、保管庫の残骨灰(計20トン以上)を骨とそれ以外に分別。骨は斎場に戻す。燃え残った棺の一部などの不純物を取り除くため、処理後の残骨灰の体積は10分の1未満に圧縮される。

 

 厚生労働省は昨年、自治体の残骨灰の処理状況を調査。回答した94自治体のうち8割近くが、残骨灰の処理を業者に委託していた。

 

 残骨灰には歯の治療や人工骨などで使われた金、銀、パラジウムなどの貴金属が含まれており、精錬会社などに売却して利益を得ている業者も多い。中には1円の委託料で自治体から処理を引き受ける業者もいるという。岐阜市や北九州市も1円で委託している。

 

 大津市は6月、競争入札を実施。業者に払う処理の委託料と業者が市に払う残骨灰の引き取り対価をそれぞれ入札させ、その差額で落札者を決めた。他の公共工事を参考にし、委託料に約31万円の最低制限価格を設定。担当者は「1円の委託料では業者の質が保てないと考えた」と話す。

 

 6業者が参加し、落札額は約1200万円(税抜き)。市は斎場の整備などに充てられないか検討するとしている。

 

遺灰を売る、倫理的問題は

 

 残骨灰をめぐる自治体の対応は様々だ。業者から骨と一緒に貴金属を回収して売却する自治体もある。売却益を市民サービスに回そうという狙いだ。

 

 東京都は処理後、貴金属の返還を業者に求めている。業者には処理費約50万円を支払い、回収した貴金属は都が売却している。2018年度の売却益は約700万円だったという。

 

 名古屋市もここ数年、平均で11~12キロの有価物を金属加工会社に売却している。毎年2千万円ほどの売り上げになり、福祉政策などに回している。

 

 一方、横浜市は貴金属を回収せず、貴金属が含まれている分を織り込んで残骨灰は業者に売却。昨年度の売却額は約1億円にのぼり、斎場のトイレの洋式化などに使った。ただ、遺灰を売ることに市民から「倫理的に問題はないのか」といった批判も上がっているという。

 

 こうした批判をかわすため、名古屋市は「市が貴金属を回収して売却した方が、お金の流れが見えやすい」(担当者)と説明する。大津市は貴金属の返還を業者に求めず、「引き取り対価であり、売却にはならない」(担当者)との立場だ。それでも市民からは「実質的には遺灰の売却でないか」といった声が出る。

 

 適正な残骨灰の処理を求める全国環境マネジメント協会(東京)によると、火葬場を持つ自治体のうち貴金属を回収しているのは1%以下。担当者は「売却は故人の尊厳を軽視している。引き取り対価は売り払い以外の何ものでもなく、強い疑念を持つ」と回答した。大津市の担当者は「どれだけの有価物が出るかわからない。実際の処理の推移を見て、今後考えていきたい」と話し、業者から貴金属の売却先や金額などの帳簿書類を提出させ、チェックするとしている。

 

 一方、今回の処理の委託について、市議会ではあまり議論されていない。19年度の当初予算に計上しているものの、市は市民に意見を募集するパブリックコメントも実施していない。市民からは「遺族でもある市民に丁寧に説明する責任を市は果たしていない」(祖母を市の火葬場で荼毘(だび)に付した男性)という声も出ている。(山中由睦(よしちか))

 

     ◇

 

 葬送文化に詳しい聖徳大学の長江曜子教授 残骨灰は遺体の一部で、尊厳を持って扱うべきだ。貴金属の売却益は地域で生きた証しとして地域振興に充てる方法や、京都市のように売却しないという判断もあると思う。日本は火葬大国。多死社会の中で残骨灰の処理は自治体任せにせず、議会や市民も関心を持って考えないといけない課題だ。

 

 行政に詳しい同志社大の真山達志教授 遺灰処理は自治体にとって頭の痛い問題だ。都市部を中心に、スペースなどの事情で保管が継続できないことは明白で、業者に処理を委託する場合は、委託費を0~1円にする代わりに貴金属の売却益を回収しないか、処理費用は支払うが売却益を回収するという2択が基本と言える。自治体は厳格なコスト計算をして方法を決め、市民に丁寧に説明する必要がある。

 

以上

 

私は、聖徳大学の長江曜子教授(葬送文化学会の前会長)の

 

「残骨灰は遺体の一部で尊厳を持って扱うべき」に賛成です。

 

どの解決法が良いのか判断するまでには時間がかかるかもしれませんが、

 

今のやり方は宜しくないでしょう。

 

まずは、一般の方が関心を持つ、それが大事だと思います。