人体の神秘…羊膜移植 (井手)

 

羊膜とは、脊椎動物の爬虫類・鳥類・哺乳類の動物の発生の過程で形成されるものです。

 

直接、胎児を包み、羊膜の空洞は羊膜腔と呼ばれ、羊水によって満たされています。

 

 

 

赤ん坊は羊水の中でプカプカ浮いています。

 

もうこの時点で不思議ですね。

 

羊水の中では肺呼吸ではなく、へその緒でつながったお母さんから

 

酸素や栄養分をもらって生きています。

 

羊水は、細菌やウイルスなどから赤ちゃんを守ってくれます。

 

 

嘗て出産時に廃棄されることが多かった「羊膜」ですが、少しずつ様子が変わってきました。

 

現在、提供された羊膜は、日本組織移植学会が認定した全国9カ所の「羊膜バンク」で凍結保存されています。

 

そして移植が必要な時には、各医療機関に配られています。

 

2018年には、計542件がバンクから供給されました。

 

羊膜移植が2014年に保険適用になって以降、その件数は毎年増え続けています。

 

 

 

羊膜とは、子宮内で赤ちゃんを包んでいる膜で、

 

子宮の一番内側にあり、羊水を保持している薄い膜です。

 

古くから、やけど後の被覆や手術後に生じやすい臓器の癒着防止に有用である、

 

ということが知られていました。

 

 

 

羊膜には、

 

(1)血管がない

 

(2)炎症を抑える働きがある

 

(3)特別なコラーゲンでできており、線維化(注)しない

 

(注)線維化とは、正常な組織がコラーゲン線維などに置き換わってしまい、

 

その働きを失うこと

 

(4)拒絶反応が少ない

 

以上の特徴があります。

 

 

 

血管がなく透明であるため、羊膜は角膜への移植材料として適しています。

 

また、炎症や線維化を抑える働きがあることから、術後の角膜の混濁や癒着を防止できます。

 

さらに、傷の修復が早まることも確認されています。

 

加えて、羊膜は弾力性に富むため、眼球にきれいに縫いあわせることが容易という特徴もあります。

 

他人から提供された羊膜を移植しても、拒絶反応はほとんど起きず、免疫抑制剤は必要ない。

 

羊膜の優れた特性は他の医療分野でも役立つ可能性があるのでは

 

目の病気やけがの治療に使う「羊膜移植」が、確実に広がり始めています。

 

 

 

嘗ての羊膜のように、まだまだ重要な役割を果たすものであっても、

 

人間の無知から無駄に廃棄されているものが、まだあるのかもしれません。

 

人体の神秘につながる新たな発見が待ち望まれます。