現在、入院4日目である。
実は2日目から心臓リハビリテーションを開始している。
術後の症状が良いのか幸いトントン拍子に進んでいる。
本日ステップ7が終わった…残るは2ステップのみだ。
心筋梗塞後は、最初は心臓を労り、そして徐々に負荷をかけて鍛えるらしい。
心臓リハビリテーションの主たる目的は、
安静の必要性・冠動脈危険因子の理解・栄養指導のポイント・退院後の運動について、
またこれらの学習した内容を説明できるか。
既に退院が待ち遠しいが10日間以上は最低でも入院といわれ、
その後一カ月間は休むように指導されている。
さて、前回の続き
そして手術室で、私の心臓は止まった…その後である
「井手さん、聞こえますか」
「聞こえていますか?」
「…井手さん!」
私を呼ぶ声に目が覚めた。
私の顔を取り囲む4人の見知らぬ顔。
左隣の女性看護師が声をかける。
…見覚えがある、先ほど優しく声をかけてくれた女性の看護師さんだ。
「井手さん、わかりますね」
条件反射で「わかります」と返事をした途端に、思い出した。
そうか…カテーテルの手術中だった、不味いなあ寝ていたら
「すいません、寝ていました」
この時、私には理解できていなかった。
明るい光の中で、とても優しい気分に浸っていたのだ。
それを夢と呼ぶのかさえ判然としない。
今となっては残念だが…
電気ショックで心停止した私の心臓を正常な状態に戻してくれたのが、この時だった。
「すいません、寝ていました」は勘違いも甚だしい。
今、あの時がどんな夢だったかも思い出せない。
思うに、脳内でアドレナリンが噴出していたのだろう。

私の右手首から挿入されたカテーテルを自在に操るドクターの姿は、
熟練というか、手術台から見ていて不思議と安心感があった。
これだけやってもらって巧くいかなかったら諦めもつく…そう思えるほどだ。
そんな感覚で、肩をゴリゴリと通るカテーテルを文字通り肌で感じていたし、
映画のエイリアンみたいに心臓近くで動くそれを…不思議な思いで受け入れていた。
俺の体を良くするために働いてくれるのは、
赤血球だろうが白血球だろうがエイリアンだろうが全てが愛おしく思えた。
手術は無事に終わった。
普段はコンタクトを付けているが、手術の時は裸眼で目元がおぼつかなく
命の恩人、オペ担当の先生(現在は主治医)の顔も朧気だった。
CCUから一派病棟に移り、日に一回は顔を出してくださる先生の温顔を拝んでいる。
これから長くお世話になるのだろう。
ホントに人は一人では生きていけないことを実感した。
闘病日記はもう少し続きます。
では。