先月11月29日、中曽根康弘元総理大臣が101歳でご逝去された。
そして本日、葬儀が執り行われる。
国鉄民営化を成し遂げ、ロナルド・レーガン大統領との「ロン・ヤス」関係、
また、小派閥を率いるので政界の風見鳥と揶揄されることもあった。
このニュースを見て思い出したことがある。
中曽根元総理が昭和62年に退任してから数年後、築地の本願寺本堂で、
ある音楽関連会社の社葬の司会をしたことがあった。
築地本願寺には3つ大きなホールがある。
中でも本堂は一番大きい。
使い方次第だが、500席~800席程度である。
青山斎場が250~300席(持ち込みで+50)だから、その広さが分かるだろう。
焼香台は30~50台並ぶが、混雑が予想されたこの時は30台で進めていた。
何せ「とらや」の羊羹を買い取りで3000本用意したのには参った。
遺族親族席、来賓席には席札が用意され、誘導・確認などが無事済み、
いよいよ始まるというその時、一般席の中ほどに見えるのは、
えっ、元内閣総理大臣中曽根康弘氏の姿が…

当時の担当者は、直ぐに来賓席を用意して氏名焼香や弔辞も…と慌て気味。
落ち着かなくてはと思い、「喪主に確認してきます」と直ぐに遺族席へ。
喪主は中曽根氏が参列されていることはご存じだったが、
「元内閣総理大臣という肩書はやめてもらいたい、色々と社葬に差しさわりが…」
少し考えて、「では、氏名焼香だけお願いします。肩書は、静岡高校同級生で」
直ぐにその旨を、中曽根氏に話し快諾していただいた。
葬儀の担当者も直ぐに理解されたようだ。
(物分かりが早い、この担当者でよかった)
我々も中学校や高校の同窓会をやれば、大臣だの社長だのは一切関係ない。
いつでも○○と呼び合い、じゃれ合う、そんな濃い関係が築けている。
その感覚に近いのだろうな。
因みに、静岡高等学校は、現・静岡大学。
中曽根氏は群馬県出身、旧制高崎中学4年終了、静岡高等学校卒業、
その後、東京帝国大学法学部を卒業されている。
喪主様と中曽根氏との関係がとても爽やかだった。
心よりご冥福を祈ります。
合掌。