昔、ビッグマザーを辿る小説があり、
人類の起源がアフリカであることを証明していた。
その時に重要なポイントが、ミトコンドリアDNAだ。
ミトコンドリアというのは、細胞内でエネルギーを生産する小器官。
核とは別に独自のDNAを持ち、そのサイズは、1万6000塩基対ほど。
30億塩基対ものある核DNAと比べると格段に小さい。
(塩基や塩基対というのは、DNAの遺伝情報を構成する最小単位)
そして何より大事なのは、ミトコンドリアの遺伝子の伝達方法だ。
核DNAなら、父親の精子と母親の卵が合体して、
半分ずつの遺伝情報を受け継ぐが、
ミトコンドリアの場合はその方式をとらない。
精子からは父親由来のミトコンドリアの遺伝情報は伝達されない。
つまり、卵の中にあった母親のミトコンドリアだけが子に継承される。
ミトコンドリアDNAで辿ることができるのは、母系のみである。

この小説は面白かった。
が、そもそも人類はミトコンドリアという別の細胞を取り込み、
いや、もしかしたら共生微生物かもしれないが、
いずれにしても
「人は、自分の力だけでは生きていけない」
ということを分かってのことではないか。
相反する存在が、互いに助け合って生きているのは他の生物にもよくある話。
嫌な存在はいてくれてこそ、なんだ。
では。