毎日(雨の日以外)、約30キロ歩いている。
ダイエットのために始めたが、今では完全な新型コロナ対策として
体力や抵抗力を維持するためである。
朝は4時半から3時間、会社まで1時間以上歩き、昼食後に1時間、
帰りも1時間以上歩き、全部で6時間半くらい歩くと30キロになる。
こんな生活が半年目に入ったが、先日の昼食後のウォーキング中、
私の前を歩く80歳くらいの杖を突いたお爺さんが、
右に大きく揺れたかと思うと、反動で左に大きく揺れそしてバタンと倒れた。
その際、顔面から落ちたらしく口から血を拭き、倒れたままもがいている。
思わず駆け寄り「大丈夫ですか?」
お爺さんは呻いている。
「立てますか?」と尋ねたが、とても立てそうにないので、手を貸した。
その瞬間、コロナのことが頭を過った。
「マズい、もしお爺さんが陽性だったら濃厚接触者になるだろう」
しかしここで手を放すわけにはいかない。
お年寄りの割には、そこそこ重いなあ。
何とか縁石のところまで辿り着き、座っていただいた。
「自宅には、どなたかいらっしゃいますか」
「家内がいるけど、ちょっと認知気味で…タクシーを呼んでもらえますか?」
血だらけの口の周りを拭いながら、ぼそぼそと答えた。
「血が凄いですから、病院に行かれたらどうですか」
「…」
「タクシー呼んでも乗れないでしょ、自宅に着いても下りるのが…救急車呼びましょう」
「えっ…どうしましょう」
周囲に人が集まってきた。が、誰も手を貸してくれない。
遠巻きに見ている。コロナのせいで、誰もが疑心暗鬼になっているのだ。
先日、道端で突然倒れた方が死んだ…コロナだったそうだ。
そんなニュースが流れていたから、仕方がない。悪いのは、新型コロナである。
結局、救急車を呼んだが、今いる場所が分からない。
事務所の近くと言っても歩いて20分くらい。
モタモタ話していたら横からお爺さんが口出しをしてきた。
両方でいっぺんに喋らないでよ、分からないからさ。
何とか現住所を伝え、救急車が来るまで待っていた。
その時は、救急車を探す振りをしながらお爺さんから
「ソーシャル・ディスタンシング」で距離を取っていた。
サイレンの音が聞こえた。
これで離れられると…正直ほっとした。
隊員に簡単に説明して、お爺さんは収容されていったが、私はコロナが怖くなった。
直ぐに事務所に戻り、徹底的に消毒や手洗いやうがいをしたが、大丈夫だろうか。
不要でもないし、不急でもない、そんな時、いったい何が正解なのか教えて欲しい。
参ったな、コロナにはまだかかりたくないのに。
では。