名古屋の通夜は、名古屋人がよく食す「助六」を持たせることが一般的らしい。
愛知県下では、関東と同様に通夜振る舞いをする地域もあるようだが、
以前から名古屋だけは通夜振る舞いをする習慣がなかったようだ。
名古屋で回転寿司に行けば、小皿に乗ったお稲荷さんが回ってくる。
私は少し驚いた。東京ではあまり目にしない光景だが、名古屋では普通だ。
確かに甘党の私はお稲荷さんが好きだが、それでも回転寿司では手は出さない。
コンビニやスーパーのお弁当売り場に行けば見かけることが多い「助六寿司」は、
「いなり寿司+巻き寿司」このセットで販売されている。
今日は名古屋の通夜で定番の「助六寿司」の「助六」について。

「助六」とは、歌舞伎の演目の一つ。
お寿司に使われている「助六」は、江戸時代に人気だった演目の一つ、
「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」というお話が由来。
主人公が「助六」で、愛人の「揚げ巻き」の存在が、名前の由来になってる。
ところが、私も認知が入ってきたか、先日の講習会では
主人公が「助六」で、愛人の「太巻き」の存在が、名前の由来になってる…
え「愛人の太巻き」…いやでしょう「ふとまき」は、
色物は「ふとまき」では話になりませんなあ。
自分では、ん?何か違うような?とは思いましたが分かりません。
さすがにご存じの方がいて、「揚げ巻き」と声がかかり事なきを得ました。
簡単に物語を説明すると、義理人情を重んじる渡世人の曽我五郎時致(そがのごろうときむね)が、花川戸の「助六」(はなかわどのすけろく)という侠客になり、源氏の宝刀・友切丸(ともきりまる)を探し出すため吉原に出入り(潜伏)しているうちに、三浦屋の傾城・揚巻(あげまき)と恋仲になった助六は、吉原で豪遊する意休(いきゅう)という老人がこの刀を持っていることを聞きだし、奪い返すというストーリー。
助六は頭に紫色のハチマキを巻いています。この姿を海苔巻きに例え、また、助六の愛人の揚巻の名前から、お揚げを使った「いなり寿司」、巻き物の「海苔巻き」を入れたお弁当…「いなり寿司+巻き寿司」このセットを助六寿司としたそうです。
この助六が、名古屋では通夜振る舞いになっているのだ。
恐らく助六の背景は一切関係なく、等しく人気が高くて価格も適当で扱いやすい商品。
そういう認識からではないかと思うが…
故人に愛人がいたりしたら…まあいいか、もうそういうことは言うまい。
帰りの車中で、天むすが食べたかったが、こんなのしか売ってなかった。
「天むす・いなり」という駅弁。
要するに名古屋では、いなり寿司の人気が高いということだろう。
これはこれで、美味しくいただきました。
また、8月と9月に愛知に行く予定です。